
「場所が悪い」は、もはや言い訳にならない時代
「うちは駅から遠いから、外国人観光客なんて来ないよ」
「メイン通りから一本入った路地裏だから、気づかれないんだ」
もし、あなたがそう思って諦めているのなら、それは非常にもったいないことです。
確かにかつては、観光客ビジネスにおいて「立地(ロケーション)」は絶対的な勝敗の要因でした。
ガイドブックを片手に歩く時代、目立つ場所にある店が勝つのは当たり前だったからです。
しかし、今は違います。
スマートフォンの普及により、外国人旅行者の行動パターンは劇的に変化しました。
彼らは「偶然見つけた店」に入るのではなく、「Googleマップで検索し、評価が高い店」をピンポイントで目指してやってきます。
つまり、どんなに駅から遠くても、ビルの2階でも、地下でも、「そこに行く理由」さえあれば、世界中からお客様は足を運んでくれるのです。
本記事では、立地のハンデを逆に「武器」に変え、連日外国人客で行列を作る繁盛店の共通点を分析し、明日から実践できる集客の秘訣をお伝えします。
1. Googleマップこそが「世界への表札」である
まず、大前提として知っておくべきは、外国人観光客のほとんどが、店舗探しに『Googleマップ』を使用しているという事実です。
彼らにとって、Googleマップはお店を見つけるための「目」そのものです。
MEO対策で「見つけてもらう」工夫
ここで重要になるのが「MEO対策」です。
※MEO(Map Engine Optimization)とは Googleマップなどの地図検索エンジンにおいて、自店舗の表示順位を上げたり、情報を最適化したりする施策のこと。「ローカルSEO」とも呼ばれます。
繁盛している店は、立地が良いわけではなく、この「デジタルの上の立地」が良いのです。
- 正確な情報の登録: 営業時間、定休日、正確な位置情報は必須です。せっかく遠くまで来たのに閉まっていたら、低評価の書き込みに直結します。
- 魅力的な写真: メニューや商品だけでなく、外観、内観、そして「楽しそうに食事をする人」の写真を充実させましょう。言語を超えて魅力が伝わります。
社会的証明(Social Proof)を活用する
行動心理学に「社会的証明」という原理があります。
※社会的証明とは 自分の判断よりも、他人の行動や評価(レビュー、行列、人気度)を信頼して行動を決定する心理傾向のこと。「みんなが良いと言っているなら、良いものに違いない」という心理です。
立地が悪い店ほど、口コミ(レビュー)が命綱です。
来店した外国人客に「Googleマップのレビューを書いてくれませんか?」と笑顔でお願いしてみましょう。
QRコードを用意しておけばスムーズです。
英語や母国語でのレビューが蓄積されれば、それが新たな旅行者を呼ぶ最強の看板になります。
2. 「不便さ」を「隠れ家」という価値に変えるストーリー
駅から遠い、分かりにくい場所にある。これをネガティブに捉えず、**「隠れ家(Hidden Gem)」**というポジティブなストーリーに変換しましょう。
希少性の原理をくすぐる
多くの外国人旅行者は、他の観光客が行かないような「自分だけの特別な場所」を探しています。これは行動心理学でいう**「希少性の原理」**が働くからです。
※希少性の原理とは 手に入りにくいものや、数が少ないものほど、価値が高いと感じる心理効果のこと。「知る人ぞ知る店」という特別感が、訪問意欲を掻き立てます。
具体的な表現の工夫
SNSやWebサイトでの発信において、以下のように表現を変えてみてください。
- ×「駅から遠くて不便な場所にあります」 ↓
- ○「観光地の喧騒から離れた、静かな路地裏にある隠れ家です。地元の日本人が通う、本物の体験がここにあります」
「わざわざ探して行く」というプロセスそのものが、彼らにとっては「冒険(アドベンチャー)」になります。店にたどり着いた時の達成感も含めて、エンターテインメントとして提供するのです。
3. 「わざわざ行きたい」と思わせる一点突破のコンセプト

立地のハンデを覆すには、「何でもあります」ではなく「これならどこにも負けない」という強烈なフック(引き」)が必要です。
専門特化で指名買いを狙う
例えば、私が知るある地方の小さな喫茶店は、駅から徒歩20分もかかりますが、「抹茶ラテアート」だけに特化し、世界中から客を集めています。
「日本に行ったら、あの店のあの抹茶ラテを飲みたい」 このように目的が明確であれば、距離は障害になりません。
あなたの店の一番の売りは何ですか?
「世界一濃厚な抹茶アイス」
「侍の甲冑を着て写真が撮れる居酒屋」
「店主が毎朝釣ってくる新鮮な魚定食」。
何か一つ、尖った特徴を打ち出し、それをビジュアル(写真・動画)で世界に発信してください。
4. 言葉の壁を超える「やさしい日本語」と「アナログな温かさ」

わざわざ遠くまで足を運んでくれたお客様に対し、最高のおもてなしで応えたいものです。
ここで大切なのがコミュニケーションです。
「英語が話せないから」と、無言で接客していませんか?
それは一番の「おもてなしロス」です。
多言語対応より「やさしい日本語」
ここでも「やさしい日本語」が活躍します。
翻訳アプリや英語のメニューも便利ですが、心の距離を縮めるのは、生身の言葉です。
※やさしい日本語の活用例
- 「お履き物はそちらの下駄箱へお入れください」 →(ジェスチャーと共に)「靴は、あそこに、入れてください」
- 「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」 →「決まったら、呼んでくださいね」
指差しシートの活用
無理に英語を使わなくても、イラスト付きの「指差し会話シート」があれば十分です。
「オススメ」「辛い」「豚肉が入っている」などを指差して確認し合う。
この共同作業が、笑いを生み、記憶に残る体験となります。
「言葉は通じなかったけれど、おばちゃんが一生懸命『おいしい?(Delicious?)』と聞いてくれたのが嬉しかった」 こういった体験こそが、レビューに書かれる「また行きたい理由」になるのです。
5. 行動を促す「視覚的なシェア」の仕掛け

「探してでも行きたい店」になるための最後のピースは、UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)です。
つまり、お客様自身によるSNS投稿です。
写真を撮りたくなるスポットを作る
店内に一箇所でいいので、「撮影スポット」を用意しましょう。
- 和傘や提灯を飾った一角
- 商品が美しく映える照明の当たったカウンター
- 「I was here!」と書かれたボード
人間には「認知的不協和」を解消しようとする働きがあり、自分が「良い」と思って写真を撮り、SNSにアップすると、その自分の行動を正当化するために、その店をより好きになる傾向があります。
また、彼らの投稿を見た友人が、「次の日本旅行ではここに行きたい!」と保存ボタンを押す。
これが広告費ゼロで広がる集客のループです。
結論:立地ではなく「愛」で選ばれる店になる
インバウンド集客において、立地の良し悪しは、もはや決定的な要素ではありません。
むしろ、不便な場所にあるからこそ、「わざわざ来てくれた」という感謝の気持ちが生まれ、それが丁寧な接客へとつながります。
お客様もまた、苦労して見つけた店だからこそ、その体験を大切にしようという心理が働きます。
重要なのは、以下の3点です。
- Googleマップ上で「見つけられる状態」にしておくこと。
- 「そこに行く理由(独自の魅力・ストーリー)」を明確にすること。
- 来てくれたお客様に、「やさしい日本語」と笑顔で心からの歓迎を示すこと。
世界中の人々は、便利なコンビニのような店を探しているわけではありません。
不便でも、言葉が完璧に通じなくても、日本のローカルな生活を感じられる、温かい「あなたの店」との出会いを求めているのです。
「ようこそ、遠いところまでよく来てくれましたね」 その一言と笑顔があれば、あなたの店は、世界で一番魅力的な目的地になれます。
次にあなたができること(Next Step)
まずは今すぐ、ご自身の店舗をGoogleマップで検索してみてください。
そして、もし可能であれば、直近で来店された外国人のお客様が投稿してくれた写真やレビューに、「Thank you! また来てくださいね」と、日本語でも英語でも良いので返信をしてみましょう。
そのたった1分のアクションが、世界からの信頼を勝ち取る第一歩です。
MEO対策の具体的な手順や、店舗独自の「強み」の言語化についてお悩みでしたら、いつでもご相談に乗ります。一緒に「世界から愛される店」を作っていきましょう。