
貴社のビジネスが「インバウンドの恩恵を最大限に受ける」ためには、何が必要でしょうか?
答えは明確です。「世界中のお客様に、貴社の存在を知ってもらい、訪れてもらうための仕組みを構築すること」です。
その第一歩として、「Googleビジネスプロフィール」の徹底的な活用を強くお勧めします。
「Googleビジネスプロフィール?聞いたことはあるけれど、具体的にどうすればいいの?」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ご安心ください。
本コラムでは、Googleビジネスプロフィールをインバウンド集客の強力な武器へと変えるための具体的な方法を、一つ一つ丁寧にご説明いたします。
第1章:Googleビジネスプロフィールは「世界への玄関口」である

Googleビジネスプロフィールとは、Google検索やGoogleマップに表示される、貴社のビジネス情報のことです。
住所、電話番号、営業時間、ウェブサイト、写真、お客様からの口コミなど、ビジネスに関するあらゆる情報が集約されています。
なぜこれがインバウンド対策に重要なのでしょうか?
考えてみてください。
海外から日本に旅行に来る方々は、どのようにして行きたい場所やお店を探すでしょうか?
多くの方が、スマートフォンを使って「Google検索」や「Googleマップ」を利用します。
例えば、「Kyoto Ramen (京都 ラーメン)」と検索すれば、京都にあるラーメン店の情報が地図上に表示され、それぞれの店の営業時間や評価、写真などが一覧できます。
この時、貴社のビジネスがGoogleビジネスプロフィールに登録されていなかったり、情報が不足していたりすると、どうなるでしょうか?
せっかくの機会損失です。存在しないも同然と見なされ、お客様の目に留まることなく、貴社のビジネスは選択肢から外れてしまうでしょう。
逆に、貴社のGoogleビジネスプロフィールが充実していれば、世界中のお客様が日本に到着する前から、あるいは到着してすぐに、貴社のビジネスを見つけ、興味を持ち、訪れるきっかけとなるのです。
まさに、Googleビジネスプロフィールは、貴社と世界中のお客様を繋ぐ「玄関口」なのです。
第2章:今すぐ始める!Googleビジネスプロフィールで押さえるべき基本設定

まずは、Googleビジネスプロフィールの基本的な設定から始めましょう。
これらが適切に設定されていないと、せっかくの情報もお客様に届きにくくなってしまいます。
1. 正確なビジネス情報の登録
最も基本的なことですが、非常に重要です。
- ビジネス名: 正式名称を正確に登録してください。
- 住所: 訪日外国人観光客が利用する地図アプリと連動するため、番地まで正確に入力しましょう。
- 電話番号: 国際電話からの利用も考慮し、国番号(日本の場合は+81)を付けて登録することを推奨します。
- 営業時間: 季節や曜日によって変動する場合は、その都度更新しましょう。
特に年末年始やお盆など、日本の祝日は海外の観光客には分かりにくいため、具体的な営業時間を明記すると親切です。 - ウェブサイト: 貴社の公式ウェブサイトがあれば、必ず登録しましょう。
多言語対応している場合は、その旨も記載できると良いでしょう。
2. カテゴリの適切な選択
貴社のビジネスを最もよく表すカテゴリを選択してください。
例えば、レストランであれば「日本料理レストラン」「寿司店」など、具体的に選択することで、関連性の高い検索結果に表示されやすくなります。
複数のカテゴリを設定することも可能です。
3. 魅力的な写真と動画の掲載
「百聞は一見に如かず」です。特にインバウンドでは、言語の壁があるため、視覚情報は非常に重要です。
- 外観写真:
お客様がお店を見つけやすいように、建物の全体像がわかる写真、特にランドマークとなるような特徴があれば、それがわかる写真を掲載しましょう。 - 内観写真:
店内の雰囲気や、席の配置などがわかる写真を掲載し、お客様がイメージしやすいように工夫しましょう。 - 商品・サービスの写真:
料理店であれば、一番人気のメニューや、日本の文化を感じさせるメニューなど、魅力を伝える写真を掲載しましょう。宿泊施設であれば、客室の種類、共用スペース、アメニティなどを魅力的に見せる写真が効果的です。 - 動画:
短い動画でも、お店の活気や雰囲気をよりリアルに伝えることができます。
高品質な写真や動画は、お客様の「行ってみたい」「体験してみたい」という気持ちを強く刺激します。プロのカメラマンに依頼することも検討する価値は十分にあります。
4. サービスや商品の詳細説明
提供しているサービスや商品の内容を具体的に記述しましょう。
例えば、レストランであれば「〇〇産の食材を使用しています」「〇〇料理専門」といった特徴を、宿泊施設であれば「温泉付き」「ペット同伴可」といった情報を詳しく記載します。
5. 属性の活用
Googleビジネスプロフィールには、「Wi-Fiあり」「車椅子対応」「多言語メニューあり」といった「属性」を設定する機能があります。
訪日外国人観光客にとって、これらの情報は非常に重要です。例えば、アレルギー対応やベジタリアン・ヴィーガン対応なども表示できるため、可能な限り多くの属性を設定し、貴社の魅力をアピールしましょう。
第3章:インバウンド集客を加速させる!Googleビジネスプロフィールの応用テクニック
基本設定が完了したら、次にインバウンド集客をさらに強化するための応用テクニックを見ていきましょう。
1. 口コミ(レビュー)への積極的な返信
Googleビジネスプロフィールにおいて、口コミは非常に重要な要素です。
特に、海外のお客様は、来店前に口コミをチェックする傾向が非常に高いです。
良い口コミは、新規のお客様を呼び込む強力な後押しとなりますし、悪い口コミであっても、真摯に返信することで、お店の誠実な姿勢をアピールできます。
日本語だけでなく、可能であれば英語など、お客様が投稿した言語で返信するように心がけましょう。翻訳ツールを活用するのも良い方法です。
良い口コミには、感謝の気持ちを具体的に伝え、またのご来店を促しましょう。
悪い口コミには、決して感情的にならず、丁寧にお詫びし、改善策や対応策を具体的に示しましょう。これは、他のお客様にも貴社の誠実な姿勢を示すことになります。
口コミへの返信は、お客様とのコミュニケーションであり、貴社のビジネスへの信頼性を高める貴重な機会です。
2. 最新情報の定期的な発信(投稿機能の活用)
Googleビジネスプロフィールの「投稿」機能を利用して、最新情報を定期的に発信しましょう。
- 新メニューや限定メニューの紹介:
旬の食材を使った新メニューや、期間限定のイベントなど、お客様の興味を引く情報を写真とともに投稿しましょう。 - 営業時間変更や臨時休業のお知らせ:
事前に告知することで、お客様の不便を解消し、信頼感を高めます。 - イベント情報:
日本の季節のイベントや、地域のお祭りなどと連動した情報発信は、訪日外国人観光客にとって魅力的に映ります。 - プロモーションやクーポン:
期間限定の割引や、特典を提供することで、来店を促すことができます。
これらの情報は、お客様が貴社のGoogleビジネスプロフィールを訪れた際に、常に新鮮な情報を提供し続けることで、お客様の再訪や新規顧客獲得に繋がります。
3. Googleビジネスプロフィールの「質問と回答」の活用
Googleビジネスプロフィールには、お客様がビジネスに対して質問を投稿できる「質問と回答」機能があります。
よくある質問や、海外のお客様から聞かれそうな質問
「クレジットカードは使えますか?」
「予約は必要ですか?」
「ベジタリアンメニューはありますか?」など
を事前に想定し、オーナー自らが回答を投稿しておくことをお勧めします。
これにより、お客様の疑問を事前に解消し、来店へのハードルを下げることができます。
4. Googleビジネスプロフィールからの予約・注文機能の導入
飲食店であれば、Googleビジネスプロフィールから直接予約できる機能や、テイクアウトの注文ができる機能を導入することも可能です。
これにより、お客様はGoogle上で貴社を見つけてすぐにアクションを起こせるため、予約・注文までの手間を大幅に削減できます。
特に海外のお客様にとっては、言語の壁なくスムーズに予約・注文ができることは大きなメリットとなります。
5. 多言語対応の強化
Googleビジネスプロフィール自体は、Googleの翻訳機能によって、様々な言語で表示されます。
しかし、貴社側で多言語対応を強化することで、より多くのお客様に快適な情報提供ができます。
- ウェブサイトの多言語化:
Googleビジネスプロフィールにリンクするウェブサイトを、英語はもちろん、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、タイ語など、ターゲットとする国の言語に対応させましょう。 - メニューや案内表示の多言語化:
店頭のメニューや案内表示も、多言語に対応させることで、来店したお客様がスムーズにサービスを受けられます。 - スタッフの多言語対応:
完璧な英会話ができなくても、簡単な挨拶や道案内ができるスタッフがいるだけでも、お客様は安心感を得られます。
必要であれば、翻訳アプリや指差し会話帳などを活用することも有効です。
第4章:Googleビジネスプロフィールを効果測定する!データ分析の重要性
Googleビジネスプロフィールには、貴社のプロフィールがどれだけ見られているか、どのようなキーワードで検索されているか、どのくらいの人がアクションを起こしたかなどを確認できる「インサイト」機能があります。
このインサイト機能を定期的にチェックすることは、インバウンド対策の効果を測定し、改善点を見つける上で非常に重要です。
どれくらいの人が貴社のビジネスプロフィールを見たか。
どのようなキーワードで貴社のビジネスが見つけられたか。
ウェブサイトへのアクセス、電話、経路検索などのアクションがどれくらいあったか。
これらのデータを分析することで、
「どのような情報を強化すれば、より多くのお客様にアプローチできるのか」
「どの言語での情報が求められているのか」
といった具体的な改善策が見えてきます。
例えば、「Kyoto Ramen」という検索が多ければ、ラーメンに関する情報をさらに充実させる、「Directions (経路)」のアクションが多いのであれば、アクセスマップをより分かりやすくするなど、具体的な施策に繋げることができます。
データに基づいたPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回すことで、Googleビジネスプロフィールをインバウンド集客の強力なツールとして最大限に活用できるようになるでしょう。
第5章:Googleビジネスプロフィールを超えたインバウンド戦略
Googleビジネスプロフィールは、インバウンド集客の「第一歩」であり、非常に強力なツールです。
しかし、真に持続可能なインバウンド戦略を構築するためには、これに加えて様々な施策を複合的に展開していく必要があります。
- SNSの活用:
InstagramやFacebook、TikTokなど、海外の観光客が利用するSNSを活用し、貴社の魅力を発信しましょう。美しい写真や動画、現地の文化を意識した投稿は、共感を呼び、来店に繋がる可能性があります。ハッシュタグの活用やインフルエンサーマーケティングも有効です。 - 旅行関連プラットフォームへの掲載:
TripAdvisor、Booking.com、Expediaなど、海外の旅行者が利用するレビューサイトや予約サイトへの掲載も検討しましょう。これらのプラットフォームは、貴社のビジネスを世界中の旅行者に知ってもらうための重要なチャネルとなります。 - 多言語対応の強化:
Googleビジネスプロフィールでも述べましたが、ウェブサイト、メニュー、案内表示、そしてスタッフの多言語対応は、お客様が快適に過ごすための「おもてなし」の根幹です。翻訳アプリや通訳デバイスの導入も効果的です。 - 決済方法の多様化:
クレジットカード決済はもちろん、QRコード決済(WeChat Pay, Alipayなど)や、モバイル決済(Apple Pay, Google Payなど)など、海外のお客様が普段使い慣れている決済方法を導入することは、利便性を高め、購入障壁を下げることに繋がります。 - 文化理解と接客:
イスラム教圏のお客様向けのハラル対応、ベジタリアン・ヴィーガン対応、宗教上の習慣や文化への配慮など、お客様の背景を理解した上で、きめ細やかな「おもてなし」を提供することは、感動体験を生み出し、リピーターや口コミに繋がります。 - 地域との連携:
地域全体の観光情報と連携し、周辺の観光スポットやイベント情報を発信することで、お客様の滞在時間を延ばし、地域全体の活性化にも貢献できます。
まとめ:Googleビジネスプロフィールから始まるインバウンド成功への道
本コラムでは、Googleビジネスプロフィールを活用したインバウンド対策について、基本的な設定から応用テクニック、そしてデータ分析の重要性まで、幅広く解説いたしました。
Googleビジネスプロフィールは、無料で始められ、かつ高い効果が期待できる、インバウンド集客の「費用対効果に優れた最重要ツール」です。
まずは、貴社のGoogleビジネスプロフィールを徹底的に最適化し、世界中のお客様に貴社の魅力を伝えるための基盤を築きましょう。
そして、その基盤の上に、SNS運用、他プラットフォームへの掲載、多言語対応、決済方法の多様化、文化理解に基づく接客など、様々な施策を積み重ねていくことで、貴社のビジネスは、世界中のお客様にとって「選ばれる場所」へと進化していくことでしょう。
インバウンドは、単なる一過性のブームではありません。
日本の観光業が持続的に発展していくための、重要な成長戦略です。
「難しそう」「何から始めればいいか分からない」そう思われた方も、ご安心ください。
一つ一つ着実にステップを踏んでいけば、必ず成果は現れます。
もし、貴社での具体的なインバウンド戦略の構築や、Googleビジネスプロフィールの運用に関して、より専門的なサポートが必要であれば、いつでもお気軽にご相談ください。
貴社のビジネスが世界中のお客様に愛され、さらなる発展を遂げるためのお手伝いをさせていただきます。
注釈
- SEO対策:
「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略称で、Googleなどの検索エンジンの検索結果で、ウェブサイトが上位に表示されるように最適化する取り組みのことです。本コラムでは、Googleビジネスプロフィールが検索結果で上位表示されるための工夫を指します。 - PDCAサイクル:
「Plan(計画)」
「Do(実行)」
「Check(評価)」
「Action(改善)」
の頭文字を取ったもので、業務管理における継続的な改善活動の手法です。 - ハラル対応:
イスラム教の戒律に基づいた、特定の食品や製品、サービスに対する対応のこと。